『ペーパークイリング』の歴史は大切なものを綺麗に装飾したい!という気持ちからはじまったとyu_kiは思っています。今でいうところの『盛る』とか『デコる』に近い感覚だったのではないでしょうか。

どうゆうこと?と思われた方は、このページで簡単な『ペーパークイリング』の歴史と一緒に見ていきますので、どうぞお付き合いください。

 

目次

  1. 『クイリング』の語源は?
  2. 『ペーパークイリング』の歴史
  3. まとめ


1.『クイリング』の語源は?

『ペーパークイリング』は『ペーパーフィリグリー』、『ペーパーローリング』など、いろいろな名称で呼ばれていますが、そもそも『クイリング』ってなんでしょう?

『クイリング』の語源については、よくテレビ番組で注意書きがでるように、諸説あるようですが、ガチョウの羽根(クイル(Quill))で紙をくるくると巻いていたのでそう呼ばれるようになったと言われています。羽根ペンというものがありますが、そのインクを付ける部分に紙を巻きつけていたと思っていただけると、イメージしやすいかと思います。このくるくる巻くという行為は、フィリグリー(Filigree)と呼ばれる、薄い金属を曲げてできる曲線を利用した装飾技法を紙で応用したもので、『ペーパーフィリグリー』とも呼ばれるのはそのためです。また『ペーパーローリング』も紙を巻く(roll)からきています。

フィリグリー技法は古代エジプトではすでに使われていたようです。2・3世紀ごろにはヨーロッパ各地で金や銀の細いワイヤーを使って柱や花瓶を装飾する技法へと発展していきます。その後も技法は進化していき、より繊細な表現が可能となり、アクセサリーなど幅広い分野で使われるようになりました。今日でも細い金属線を巻き上げて、レースのような透かし模様のアクセサリーが作られています。

フィリグリーのアンティークネックレス 出典:LANG

 

 

2.『ペーパークイリング』の歴史

12世紀になると、フィリグリーに使う金属が高価だったこと、作るのに技術が必要だったこともあり、徐々に素材が紙に変わっていきました。『ペーパークイリング』が本格的に普及しはじめたのは16世紀ルネサンス期。フランスやイタリアの修道女が古くなった聖書の端を切取り、『ペーパークイリング』で聖書の表紙や宗教画を装飾しはじめました。それまで上質の羊皮紙や金工細工などで聖書などを装飾するのが一般的でしたが、貧しい教会では金、銀に着色した紙を使い、本物の金工細工と見分けがつかないほどハイレベルで精巧な装飾を施したそうです。その後『ペーパークイリング』が下火になった時期もありましたが、入植者によって北米へ、その他の地域には植民地時代を通じて着実に広まってききました。

18世紀に入ると、こんどは上流階級の婦人の趣味として愛好されるようになります。額装だけでなく、コースターやティーキャディを装飾したり、箔や雲母で塗装された箱をペーパークイリングで装飾して綺麗なジュエリーボックスを作ったりすることが流行しました。下の写真でも分かるように、この時期になると、『ペーパークイリング』でまさしくデコっています。当時の婦人向け雑誌“The New Lady’s Magazine”にも人気のある趣味として紹介されているそうです。また1875年にはウィリアム・ベムローズ(William Bemrose)が「モザイコン(Mosaicon)」というハンドブックと共に『ペーパークイリング』の作成キットをはじめて販売し、趣味として定着していきました。

1780年代ジョージ三世時代、クイリングティーキャディ 出典:1stdibs

 

 

3.まとめ

いかがでしたか?『ペーパークイリング』は自分の持ち物をちょっと綺麗にデコりたいという女子的発想から生まれたと思いませんか?もちろん修道女の方々は信仰心から装飾をしていたのだとは思いますが、今も昔も女性ならではの細やかな美的感覚というものはそう変わらないのだなと思いました。

今では、グリーティングカードやアートフレーム、アクセサリーなど様々に進化している『ペーパークイリング』ですが、一番の基本は綺麗なものを作りたいという思いだと思います。なんだか『ペーパークイリング』を初めてみたくなってきたと思った方は、当サイトでも初心者向けの作成キットなど色々ご用意しています。

 

ちなみに、このページでは説明のために『ペーパークイリング』と『クイリング』を使い分けておりますが、一般的には『クイリング』といえば、『ペーパークイリング』を指すことが多いです。当サイトでも、特別に分ける必要がないかぎり『クイリング』で統一させていただいております。また、Shilly作品については『クイリングアート』と表記させていただいております。

 

参考出典: